乱歩愛

nostalji2017-11-08

これまで観る機会がなかった『恐怖奇形人間』(1969年・東映/監督:石井輝男)を観る。江戸川乱歩の『パノラマ島奇談』をベースに他の数編を盛り込んだ珍奇なる作品です。
精神病院から脱走した医学生の広介(吉田輝雄)はサーカスの少女・初代(由美てる子)の殺害犯として追われ、自分と瓜二つの死人・源三郎になりすまして生き返ります。源三郎の妻・千代子(小畑道子)も遠縁の娘・静子(賀川雪絵)も執事の蛭川(小池朝雄)も広介を源三郎と信じるのね。千代子が殺され、広介は静子と蛭川、それに下男(大木実)を連れて、源三郎の父・丈五郎(土方巽)が暮らす孤島を訪ねます。丈五郎は奇形人間で、拉致してきた人間を自分と同じような奇形人間にしようとしており、広介は洞窟で初代そっくりの秀子(由美てる子の二役)と醜い猛(近藤正臣)のシャム双生児を発見。そこには、丈五郎の妻で広介の母親でもあるとき(葵三津子)も捕らえられており……
カルト映画として石井輝男の代表作の一つです。少年時代から好きだった乱歩の映画化で、商売抜きの実験性が全編に溢れています。最初は普通の映画(精神病院のシーンは石井ワールドだけど)で、孤島に場面が移ってからは土方巽のショーの世界ですな。土方巽がノリにノッてる感じね。小池朝雄の怪演ぶりも見事。意識的に安っぽく演出したラストの人間花火は感涙ものです。「おかあさ〜ん」には大拍手ですよ。評価は分かれるものの、江戸川乱歩石井輝男ファンにはたまりませ〜ん。
帰省するので、29日まで日記を休みます。母の検診立ち合いと、父の3回忌の対応があるので、留守が長くなりま〜す。