A級作品だが

nostalji2018-03-22

友人に送ってもらった西部劇『星のない男』(1955年/監督:キング・ヴィダー)を観る。40年以上前にテレビの洋画劇場で観て以来の再見です。“星のない男”とは、定まる運命のない男という意味で、牧場対牧場の争いを解決し、飄然と去って行く西部男の物語。
テキサスから流れ着いたデンプシー(カーク・ダグラス)は、昔馴染みのアイドニー(クレア・トレバー)の酒場で、牧童頭をしているストラップ(ジェイ・C・フリッペン)と知りあい、列車で一緒になった若者ジェフ(ウィリアム・キャンベル)と三角牧場で働くことになります。東部から来た女牧場主リード(ジーン・クレイン)は野心家で、1万頭の牛を購入。牧草地を巡って他の牧場主とトラブルになるので、ストラップはそれに反対します。デンプシーはリードからストラップに代わって牧童頭になるように頼まれますが、ストラップに恩のあるデンプシーは頭をそのままにしておくことと、恋人になることを条件に協力することをリードに約束。やがて、テキサスから牛1万頭を連れて荒くれカウボーイのスティーブ(リチャード・ブーン)がやって来ます。小牧場主たちは牧草を確保するために有刺鉄線を張り巡らし、三角牧場と対決。スティーブたちを雇い、力ずくで牧草地を手に入れようとするリードに嫌気がさし、デンプシーは牧場を去りますが……
オープンレンジ(所有権のない牧草地)を巡る大牧場主と小牧場主の対立、有刺鉄線に対するカウボーイの感情など重いテーマを背景にしていますが、キング・ヴィダーは軽いタッチで適当に作っている感じです。カーク・ダグラスがガン・スピンを見せたり、バンジョーをひきながら歌ったり、クレア・トレバーやジーン・クレイン相手に陽気にはしゃいだりと、彼のワンマン映画ね。カッとなった怒りの表情はカークならではですが、毛嫌いする有刺鉄線に対する感情がドラマに活かされておらず、女牧場主の性格もジーン・クレインの力量不足のせいか尻切れとんぼです。作り方次第では重厚な作品になったと思いますが、残念ながら凡作!