最初に戻って

nostalji2018-06-09

DVDで『七つの顔』(1946年・大映/監督:松田定次)を観る。“多羅尾伴内”シリーズの記念すべき第1作です。
レビュー劇場の楽屋から出火し、スター歌手(轟夕起子)が仮面をつけた男女三人組に誘拐されダイヤのネックレスを奪われます。歌手の証言で知事候補(月形龍之介)の屋敷に踏み込んだ警察は仮面などの証拠をみつけ彼を逮捕。証拠が揃いすぎていることに疑問をもった多羅尾伴内片岡千恵蔵)は捜査を開始し、背後に知事選に係わる陰謀を探り出しますが……
戦後、GHQによりチャンバラを禁止され、刀を拳銃に持ち替えた現代版捕物帖。七つの顔の男は、奇術師・多羅尾伴内・老巡査・新聞記者・占い師・片目の運転手・藤村太蔵に姿を変えて、知事を利用して利権を貪ろうとする悪党(上田吉二郎・原健策)たちを捕らえます。七つの顔の男の素顔である藤村太蔵は、戦前は和製ルパンと云われた怪盗で、罪滅ぼしのために正義と真実を求めて活躍するんですな。“怪盗ルパン”から影響を受けており、この作品は“怪盗ルパン”の短編「謎の家」をモチーフにしています。娯楽に飢えていた大衆は、理屈ぬき(誰にでもわかる千恵蔵の変装と弾丸ぎれしない二挺拳銃)の痛快さに歓声をあげ大ヒット。シリーズ化されていくので〜す。