最後は

nostalji2018-07-05

録画していた『多羅尾伴内・七つの顔の男だぜ』(1960年・東映/監督:小沢茂弘)を再見。多羅尾伴内シリーズの最終作です。藤村太蔵(片岡千恵蔵)が多羅尾伴内・片目の運転手・船員・手品好きの紳士・中国の大富豪・せむし男に変装して令嬢誘拐事件を解決する物語。
貿易商事の社長令嬢・馬場きみ子(中原ひとみ)が誘拐され、別の事件で非常線をはっていた刑事二人が射殺されます。大沢警部(山形勲)から事件のあらましを聞いた多羅尾伴内は、刑事が密輸拳銃の銃弾で殺されたと知り、背後に大掛かりな犯罪組織があることを推理。犯人が誘拐に用いた車が発見され、片目の運転手が偽のナンバープレートを手掛かりにドライブクラブの宮下(東野英治郎)を訪問しますが、偽ナンバー作りは殺され、宮下は逃亡。夜の女ミチ(星美智子)と知りあった香港丸の船員が密輸拳銃の売り先をミチに依頼し、ミチの紹介でキャバレー“モナコ”にいるミチの弟・新吉(江原真二郎)を訪ねます。そこでは殺された刑事の娘その子(佐久間良子)が働いており、客としてきているきみ子の義母・不二子(喜多川千鶴)を目撃。新吉から紹介された星川(進藤英太郎)に拳銃を売りますが、星川の手下(安部徹と河野秋武)に銃撃されミチが殺されます。不二子を訪ねた伴内は、きみ子の婚約者で専務の清川(中山昭二)や清川の部下・山岡(阿部九洲男)の秘密を察知。手品好きのキザな紳士がモナコで働く新吉の愛人とめ子(久保菜穂子)を通じて星川に近づき、闇社会で財をなした中国の富豪を紹介。中国の富豪は息子のせむし男の嫁として三人の女性拉致を依頼。星川は、きみ子・その子・とめ子の三人を売り渡すことにしますが……
密輸・外車窃盗・裏カジノ・人身売買と、幅広い商売をしている犯罪組織なので、進藤英太郎のボスを筆頭に悪役も上記以外に富田仲次郎・稲葉義男の幹部クラスから、潮健児関山耕司安藤三男といったチンピラまでお馴染みの顔が揃っています。江原真二郎が裏切って味方になるものの、彼らを相手に千恵蔵御大はひとりで大銃撃戦。人気シリーズでしたが私がリアルタイムで観たのはこの作品だけで、子どもだった私はメチャクチャ面白く感じましたが、安保騒動にゆれるこの時期、大人はさすがにこんな映画についていけなくなったのか、シリーズは終了します。
庶民に娯楽映画というものが必要とされていた戦後の暗い時代の産物ですが、今の世の中もスカッとしたものがなく、このようなバカバカしいくらい荒唐無稽な映画も良いもんで〜す。