根付かなかったジャンル

nostalji2018-07-25

録画していた『お転婆三人姉妹 踊る太陽』(1957年・日活/監督:井上梅次)を観る。三人姉妹が母親を再婚させようとするミュージカル・コメディです。
ミュージカル作者だった父・滝伸太郎(三橋達也)亡き後、母親(轟夕起子)と暮らしている三人姉妹、春子(ペギー葉山)・夏子(芦川いづみ)・秋子(浅丘ルリ子)は、母の苦労を少しでも柔げようと再婚相手を捜します。秋子の高校に赴任してきたと轟先生(安部徹)が適任と見合いの算段。春子の恋人(フランキー堺)・夏子の恋人(岡田真澄)・秋子の恋人(石原裕次郎)も三姉妹に協力して……
三橋達也がバンド指揮するレビューシーンに始まり、ペギー葉山が所属する学生バンド(ジョージ川口、中村八大、フランキー堺)の歌と演奏、芦川いづみ岡田真澄の踊り、浅丘ルリ子石原裕次郎の歌が途中ではさまり、最後のミュージカル公演シーンでは、月丘夢路新珠三千代北原三枝南田洋子市村俊幸・柳沢真一なども出演して歌や踊りを繰り広げます。
1950年代は、各社でこの手のミュージカル映画が数多く作られていました。背景には、古川ロッパエノケンなど戦前から歌うコメディアンの復帰、美空ひばり江利チエミ雪村いずみというスーパーアイドルの出現、そしてジャズブームがあります。テレビが普及する前で、人気ミュージシャンを見られることは、生ステージに接することのなかった地方の音楽ファンにとって大きな存在だったと思われます。しかし、内容的にはチーピーなものばかりで、ハリウッドの洗練されたミュージカルを知る洋画ファンにはバカにされ、邦画ファンにはミュージカルを楽しむ土壌がなく、60年代には完全に廃れましたねェ。
本日より帰省しますので、日記は当分休みま〜す。