実話が元だが

nostalji2018-09-20

ランドルフ・スコット主演で映画化(1933年の作品ですが観たのは最近)されたゼーン・グレイ:著(持田鋼一郎:訳)の『最後の一人まで』(中央公論社:1984年10月15日発行)を読了。二つの家の対立を描いた西部小説です。
インディアンの血をひくジーン・イズベルは父ガストンからの手紙でオレゴンからアリゾナにやってきます。父が牧場を営むグラス・ヴァレーでは、新来の羊飼いの一団と先住の牛飼いとの間に諍いが絶えず、おまけにテキサスから牛泥棒のハッシュナイフ・ギャング団が入りこんできて不穏な状態。ジーンは森の中で羊飼いの娘エレン・ジョースと出会い、互いに惹かれあいます。しかし、ジーンの父ガストンとエレンの父リーは生涯の敵同士で、イズベル家とジョース家が憎しみ合っていたことから……
グレアム家とテュクスバリー家が対立したプレザント・ヴァレーの戦いがモデルとなっており、それに“ロミオとジュリエット”の味付けをした内容になっています。両家の争いの原因はよくわかっておらず、小説ではガストンが南北戦争に出征中に恋人だったエレンの母親をリーに奪われ、帰郷したガストンは罠をしかけてリーが牛泥棒をした証拠をつかんで刑務所送りにしたんですが、リーはエレンの母親に振られたせいで自分を罠にかけたガストンが許せず、故郷を離れたガストンを追ってアリゾナまでやってきて対立という構図にしています。愛を巡る対立から、愛でもって決着するという、いかにも小説といった内容で〜す。