久方ぶりの新東宝

nostalji2018-10-11

友人に送ってもらった『一寸法師』(1955年・新東宝/監督:内川清一郎を観る。江戸川乱歩の猟奇探偵小説の映画化です。
小林章三(宇津井健)は、取材にきた飲み屋街で薄気味悪い一寸法師(和久井勉)に出会い、彼が持っていた風呂敷包みの中の人間の手首を目撃し、彼の後をつけ、養源寺の付近で見失います。翌日、養源寺にやってきた小林は、学生時代の恋人で現在は山野証券社長(三島雅夫)の後妻となっている百合枝(三浦光子)と遭遇。彼女から山野の先妻の娘・三千子(安西郷子)が行方不明になっていることを聞かされ、名探偵・旗龍作(二本柳寛)を紹介します。ファッションショーのモデル人形の片腕が本物の女の片腕とわかり、旗龍作が三千子の部屋から採集した指紋と一致したことから……
原作の明智小五郎がこの作品では旗龍作になっていますが、ほぼ原作通りの内容になっています。一寸法師役の和久井勉は、『女吸血鬼』(1959年・新東宝/監督:中川信夫)でしか見たことがなかったのですが、敏捷な動きに驚かされます。日本の映画界は彼のような身体障害者を活かしていませんね。良識派という連中が、すぐに差別を口にするのも考えものです。新東宝大蔵貢体制になったばかりの作品で、早速エログロの江戸川乱歩を選んだ感じですな。奇形を売りにしていますが、大蔵体制初期ということもあって、まだ手探りの状態。天知茂丹波哲郎池内淳子(セリフなし)が、チョイ役で出演していま〜す。