昔は嬉しかったが

郵便局に行くついでがあったので、年賀切手シートをもらってくる。年賀ハガキの“お年玉抽選”の景品です。1950年から末等景品として提供されており、昨年の当選番号は下2桁2本でしたが、今年は3本になりました。100枚に3件当たる確率で、今年は確率がよく70枚弱で3枚当選。昔はコレクションにしていたのですが、最近はバラして郵便切手として使用しています。

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使うのが目的でなく、蒐集目的のために多くの人が切手を買ったことがありました。切手ブームね。串間努:著の『少年ブーム』によると、切手蒐集のブームは、1947年・1952年・1957年・1963年・1970年の5回あるとのこと。1947年は、郵政省が“切手趣味の週間”を制定し、記念切手を発行して切手収集の呼び水にしたことから始まり、1952年には会員役7万人の全日本郵趣連盟を郵政省の保護のもとに結成したことで第2次ブームとなりました。切手の売り上げを増やすために、郵政当局が切手ファン養成のために仕掛けたイベントの成功です。
団塊の世代が切手に興味を持つようになったのは、1957年のグリコのおまけとなった切手から。グリコ・アーモンドキャラメル(10円)の新聞全面広告に“世界の切手をあなたに”のキャッチコピーで、「イギリスの国王は代々熱心な切手収集家です。中でも有名なのはジョージ五世で、王は切手趣味を“王の趣味であり、趣味の王である”といいました」という惹句が子供心に切手集めは高尚なものと思ったんですね。これで、グリコの売上げは2倍になったとのこと。おまけの切手を集めるだけでは足りないので、家に来た手紙やハガキに貼られていた切手を剥がしたものです。切手の貼られた部分を大きめに切り取り、3~10分間水につけると自然にはがれ、切手の裏ののりはよく洗い落とし、吸い取り紙にはさんで水気をとり、最後は本にはさんでしわをのばして終わり。
百貨店には切手売り場が新設され、業者たちが値をつりあげて、大人たちの投機心に火をつけたのが1963年のブーム。私の母も、記念切手が発売される時は朝早くに郵便局に並んで、「額面より安くなることはない」と言ってシート買いをしていました。記念切手の発行枚数がどんどん増えて需要と供給のバランスが崩れ、希少価値がなくなるとブームは一挙に消滅。現在、切手蒐集を趣味にしている人って、何人いるんですかねェ。