帰りも

イタリア旅行に行ってきたのですが、長い飛行の暇つぶしに、時代劇『散り椿』(2018年・東宝/監督:木村大作)を観る。妻の願いをかなえるために故郷に戻った男が、藩の不正をただす物語です。葉室麟の原作を小泉堯史が脚色。
藩の不正を訴え出たため、扇野藩を追われた瓜生新兵衛(岡田准一)は、愛する妻・篠(麻生久美子)の遺言で故郷に戻ってきます。藩では若殿(渡辺大)の意を受けて改革を進めようとする側用人・榊原采女西島秀俊)と、御用商人の田中屋(石橋蓮司)を庇護する家老・石田玄蕃(奥田瑛二)が対立。篠の遺言は、私の代わりに故郷の散り椿を見て欲しいということと、新兵衛の友人でもあった采女を助けてやって欲しいというもの。かつて、采女と篠は愛しあっていましたが、家柄の違いで采女の母(富司純子)から結婚を反対され、篠は密かに篠を思っていた新兵衛と結婚。そうした経緯から、新兵衛は篠がずっと采女に想いを寄せていたんじゃないかいう気持ちがあるのね。不正を働いていた采女の父は何者かに殺され、勘定方の役人だった篠の兄は不正を見抜けなかった責任をとって自決したという不正事件をめぐる因縁もあり、新兵衛は真相を突き止めようと決意。篠の妹・里美(黒木華)は故郷に戻った新兵衛に戸惑いを見せますが、亡くなった篠を一途に想う姿や、不正を正そうとする凜とした生き方に惹かれていきます。采女と対峙した新兵衛は……
名カメラマンの木村大作が監督をしているだけに、構図のとりかたや一つ一つのカットに見るべきものが多々あります。岡田准一が考案したという殺陣も良し。惜しむらくは、相手となる西島秀俊の動きが固かったことかな。悪役が類型的で、複雑な物語にしては薄っぺら感じ。チャンバラシーンも無理やり挿入した感じですが、最近の時代劇にはないチャンバラの楽しさはありますな。ところで、新兵衛の命を狙う家老配下の役で新井浩文が出演しており、テレビ放映は危ういかもしれませ~ん。

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