録画していたNHKスペシャルドラマ『スローな武士にしてくれ』(作・演出:源孝志)を観る。
京映撮影所(完全に東映太秦撮影所)にNHKから時代劇で最新技術を使ったパイロット番組を作りたいという依頼がきます。所長(伊武雅刀)は、時代劇ベテラン監督の国重(石橋蓮司)に声をかけ、活動屋とよばれる絶滅危惧種の職人たちが集結。撮影技師の武藤(本田博太郎)、照明技師の町田(浜田晃)、録音技師の玉村(佐川満男)ね。大スターをよぶ金はないし、映像中心ということで、斬られ役専門の大部屋俳優シゲちゃん(内野聖陽)が主役に選ばれます。シゲちゃんは殺陣の名人なんですが、セリフになると極度に緊張して声が裏返るのが欠点。里見浩太朗との撮影では殺陣は完璧に決めたものの、たった一言「天誅~!」が裏返って使い物にならず、後日アフレコになる始末。福本清三も顔をみせており、里見浩太朗に見事斬られていました。
NHKから最新撮影機材を持ってやって来たDIT(デジタル・イメージ・テクニシャン)の田所(柄本佑)は時代劇オタクで、美術倉庫を見て狂喜乱舞。それを観ている私も狂喜乱舞。田所は新選組を題材とした時代劇を提案し、タイトルは「スローな武士にしてくれ」に決定。当然、BGMは「スローなブギにしてくれ」ね。
内野聖陽がカメラテストで水の入ったゴム枕を刀で斬るハイスピード撮影にはじまり、ドローンによる空陸一体カット、ハイスピードカメラによるワンカット13人斬り、そしてワイヤーアクションを使った池田屋階段落ちとチャンバラの面白さを満喫。内野聖陽だけでなく、中村獅童や斬られ役の面々が素晴らしい殺陣を披露してくれます。それに、内野聖陽の妻役の水野美紀が元くノ一女優ということで、余興で見せる立回りもグッド。これがラストのオチにもつながっています。ハイテク技術撮影の流れを描きながら、撮影所で働く人たちの姿も描いており、コミカルな人間模様に拍手。時代劇ファン必見の最高に面白い作品で~す。