泥棒関連で

 気になっていた『泥棒貴族』(1966年/監督:ロナルド・ニーム)のブルーレイが安く手に入ったので早速観る。先日観た『モネ・ゲーム』のオリジナル作品です。
中東の大富豪シャベンダー(ハーバート・ロム)が秘蔵する彫像を盗もうとしているハリー(マイケル・ケイン)は、香港で踊り子をしているニコール(シャーリー・マクレーン)を報酬5千ドルでスカウトします。ニコールは10年前に結婚生活1年で死んだシャベンダーの愛妻にそっくりで、招待客しか部屋に入れないシャベンダーの気をひかせるためだったのね。二人はイギリス貴族夫婦に化けてシャベンダーのホテルに宿泊。何とかシャベンダーに招待されますが……
冒頭、約28分にわたるケインの計画(妄想)シーンにはじまり、いざ現実に事がおよぶや、「こんなはずではなかった」という展開は、『モネ・ゲーム』がそのまま踏襲していましたね。妄想では一言も言葉を発しないミステリアスな雰囲気を見せたマクレーンが現実では饒舌なシャキシャキ娘。妄想ではクールな盗賊ぶりを見せたケインが現実ではシドロモドロ。妄想では典型的な中東の大富豪ぶりを見せるロムが現実では近代的な観察眼をもって二人を探ります。この妄想と現実、三者三様のキャラクターのギャップは『モネ・ゲーム』より格段に優れています。ハッカーによるセキュリティ解除ばかりの最近の映画と違って、アナログ的方法での防犯解除はハラハラして愉しいですな。あかの他人なのに瓜二つというのは気に入りませんが、大らかなユーモアにあふれたサスペンスは最近にないもので、1960年代の良さが出ていて味わい深い作品で~す。
ちなみに、『モネ・ゲーム』はここへ⇒https://nostalji.hatenablog.com/entry/2019/04/28/104415

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