懐かしの映画

録画保存していた『傷だらけの栄光』(1956年/監督:ロバート・ワイズ)を観る。淀長さんが解説していた日曜洋画劇場で観て以来の再見です。
ニューヨークの貧民街で育ったロッキー(ポール・ニューマン)は、ロモロ(サル・ミネオ)たち近所の悪童たちを誘っては盗みを働く不良少年。土地の不良団と喧嘩して少年院に送られますが改心せず、反抗を続けます。陸軍に徴兵されても上官を殴って脱走。ニューヨークへ舞い戻ったロッキーは、小遣い稼ぎにボクシングの試合に出て連勝しますが、憲兵に捕まり陸軍刑務所に送られます。そこで、弱い者いじめする大男と殴り合い、ノックアウトするのを見ていた体育係からボクサーになることを勧められ、真面目に練習をし、自分の進むべき道を悟るのね。出所したロッキーは、妹の友達ノーマ(ピア・アンジェリ)と知りあい結婚。プロボクサーとなって順風満帆な日を送りますが、刑務所時代に知り合った男(ロバート・ロジア)に八百長試合をもちかけられ……
ロッキー・グラジアノの伝記映画で、トニー・ゼイルに勝って世界ミドル級チャンピオンになるまでを描いています。ロバート・ワイズの演出は、非常に短いシークェンスの積み重ねでテンポよく展開し、後半の拳闘シーンはシャープでダイナミック。ポール・ニューマンの映画デビュー2作目で、リアリズムを基調としたテンポの早い演技がワイズの演出とマッチして抜群の存在感があります。公開当時はニューマンのブレイクした作品として評判になりましたが、後年、ロッキーの悪童仲間の一人として出演(セリフなし)していたスティーブ・マックィーンのデビュー作としても有名になりましたね。
引退後、ロッキー・グラジアノはタレントとして活躍し、日本でもNET系列(現:テレビ朝日)で1961年10月16日より放送された海外ドラマ『マイアミの戦慄』にも出演していました。『マイアミの戦慄』は、マイアミのホテル協会に所属する探偵が主人公の探偵アクションで、ロッキーは主人公の相棒役。ボクサーあがりという設定で、役名もロッキーで地のままね。

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画像は、ポール・ニューマンとピア・アンジェリ。ピア・アンジェリはイタリア生まれの美人女優で、52年にハリウッド入りし、美しい黒髪と可憐な美貌により清純派の娘役として人気を得ました。ジェームズ・ディーンとの仲を噂されたこともあったんですよ。離婚や人気の伸び悩みもあって58年にイタリアに戻りましたが作品にめぐまれず(日本未公開のマカロニ西部劇にも出演している)、再婚生活もうまくいかず71年に自殺しています。