主題歌は知っていたが

録画していた未見の映画『黒いオルフェ』(1959年/監督:マルセル・カミユ)を観る。リオのカーニバルを背景にギリシャ神話のオルフェとユリディスの愛を寓話的に描いた名作です。
ユリディス(マルペッサ・ドーン)は、従姉妹のセラフィーナ(レア・ガルシア)を訪ねてカーニバルを明日にひかえたリオにやってきます。市電の運転手オルフェ(ブレノ・メロ)は歌と踊りが上手くて皆の人気者。オルフェにはミラ(ルールディス・オリヴェイラ)という婚約者がいますが、身勝手な彼女と結婚する気がおきません。そんな時、自分が運転する市電に乗っていたユリディスが、隣家のセラフィーナのところにやってきたことからオルフェはユリディスに惹かれはじめるのね。ユリディスも子供たちギターで歌って聴かせるオルフェに惹かれ、愛しあうようになります。しかし、ユリディスの前に死の仮面をつけた男が現れ……
年に一度の祭りのために1年間働くという人々の熱狂が、鮮やかなカラーと強烈なサンバのリズムがあふれる映像の隅々から伝わってきます。その熱気と狂躁に、死を超越して永遠の愛に結ばれるオルフェとユリディスのギリシャ神話が不思議なほどマッチ。登場人物全てが現地人(それも素人)なのが異色であるとともに効果的です。演技力は二の次で雰囲気優先だったのでしょう。セリフはフランス語吹替えになっていますけどね。オルフェ役のブレノ・メロはサッカー選手だったとのこと。軽快な足さばきでサンバのステップを踏んでいましたよ。
アントニオ・カルロス・ジョビンルイス・ボンファが音楽を担当しており、ボンファの「カーニバルの朝」(オルフェの歌として有名)は世界中の歌手や楽団がカバーしており、『黒いオルフェ』といえばこの曲になります。主題歌だと思っていたのですが、実はオルフェがギターを弾いて歌う挿入歌だったので~す。

f:id:nostalji:20190720075119j:plain