録画していた『何がジェーンに起ったか？』（1962年／監督：ロバート・アルドリッチ）を観る。かつてテレビの洋画劇場で観て以来の再見です。
６歳の時から舞台に立っていたジェーン（ベティ・デイヴィス）ですが、子役としての人気を失った頃、姉のブランチ（ジョーン・クロフォード）が美しく成長して人気映画スターになります。姉妹の立場は逆転。母親から妹の面倒をみるように言われていたブランチは、自分の主演映画を作る時は必ずジェーン出演の映画も作らせましたが、ジェーンは満足できず酒浸りになります。ブランチは、自動車事故で下半身不随となって映画界から引退。数十年後、ジェーンとブランチは古い屋敷で暮らしていますが、ジェーンが異常な行動をとるようになります。ブランチがジェーンを入院させようとしたことから、怒ったジェーンはブランチを寝室に閉じ込め……
メインタイトルの前に、実際のデイヴィスとクロフォードの映画の一場面を引用して姉妹のキャリアを手際よく紹介。重要なポイントである事故のシーンでは、車が門に近づきアクセルを踏む足、車は進み門に衝突し悲鳴があがります。悲鳴から余計な描写をはさまず、現代まで一気に持っていく転換の仕方が素晴らしいです。人間をぎりぎりの状態に追いつめ、そのシチュエーションにおける人間の精神的、肉体的な反応をひたすら重く、息苦しく、醜く、奇怪に描いたアルドリッチ監督の手腕は見事。
その演出に応えたクロフォードとデイヴィスの演技も凄いです。特にデイヴィスの老醜ぶりね。被害妄想による意地悪がどんどんエスカレートしていく時の怖さ。声の調子を変える巧さは抜群ね。
以前観た洋画劇場では北林谷栄がデイヴィスの声を吹き替えていましたが、これも絶品でしたよ。時代を越えて残る傑作サスペンスホラーで～す。
