ヒット曲は映画主題歌

小沢昭一的流行歌・昭和のこころ』を読んで、オリジナル曲が聴きたくなり、10枚組LPボックス『懐かしの映画主題歌集』を引っぱリ出す。戦前は流行歌と映画は切っても切れない関係があり、最初の映画主題歌は日活とビクターがタイアップした「東京行進曲」でした。サイレント時代なので、主題歌は劇場のアトラクションで歌われたとのこと。佐藤千夜子のレコードが大ヒットしたので、流行歌として有名ですけどね。
映画史には出てこない二村定一が歌った「君恋し」も同様。戦後はフランク永井の歌でヒットしました。低音域で歌うフランク永井と高音域の二村定一では同じ曲でもまるで感じが違います。軽快すぎてオリジナルはウ~ン。「侍ニッポン」も、オリジナルの徳山環と私が知っている村田英雄ではまるで違うのも同じ。戦前の歌手は美声で、ビング・クロスビーのようなクルーナーね。
♪~空にゃ今日もアドバルーン~の「あゝそれなのに」は、『うちの女房にゃ髭がある』の主題歌。芸者歌手の美ち奴が歌っています。1936年12月に映画の封切りにあわせて発売され、翌年の夏までに百万枚を記録。プレイヤーの少なかった時代としては、大変な数字といえますな。B面は、♪~パピプペ、パピプペ、パピプペポ~の「うちの女房にゃ髭がある」で、杉狂児美ち奴とデュエット。本来ならこちらがA面のような気がするのですけどね。大衆受けするには、音楽学校で歌唱法を学んだ歌手より芸者さんの方が良いってんで、美ち奴だけでなく小唄勝太郎藤本二三吉・市丸など通称“うぐいす芸者”さんたちの歌が女性歌謡界をリード。♪~はアー、踊り踊るなあら~の「東京音頭」は映画主題歌でないので収録されていませんが、同じ小唄勝太郎の「島の娘」で、小沢昭一が聴きどころという色艶ある♪~はアーを聴いたので~す。

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