歌うカウボーイ

西部劇パーフェクトコレクションに収録されているレックス・アレン主演の『荒野のカウボーイ』(1950年/監督:R・G・スプリングスティーン)を観る。レックス・アレンの歌は聴いたことがあるのですが、映画で見るのは初めて。シンギング・カウボーイの西部劇は全くといって日本公開されておらず、当然これも未公開。シンギング・カウボーイの定番通り、レックス・アレンは役名も同じレックス・アレンで、腰に拳銃をつけ、くり毛の愛馬ココ(シンギング・カウボーイは必ず愛馬がセット)に跨り、劇中で歌を歌います。
牛の買い付け業者スティーブンスの横暴な要求にレックス・アレンは牧場主たちと結束して組合を結成。レックスは新たな買い付け業者を見つけ、スティーブンスの鉄道(引込み線)を使わずに、本線が通っている町まで牛を運ぶことにしますが、スティーブンス一味が様々な妨害をしてきます。時代は開拓時代にあらずして、現代(1950年当時)の西部。町にはビルが建ち、自動車が走っており、悪党は低空飛行の爆音でキャトルドライブ中の牛の大群を暴走させます。
レックス・アレンは、20歳の時(1942年)にカントリー・ウエスタン歌手としてデビュー。高校時代にはロデオ大会に出場したこともあります。46年にはジーン・オートリーと一緒にラジオ・ショーに出演。その後、めきめき人気をあげ、49年にリパブリックと契約し、シンギング・カウボーイとしてデビュー。ロイ・ロジャース、ジーン・オートリーに次ぐシンギング・カウボーイの人気スターとなります。社会全体が近代化していく中で、シンギング・カウボーイはアナクロになって存在感を失い、レックス・アレンがシンギング・カウボーイとして活躍するのは、50年代前半までのわずか5年。このことから、最後のシンギング・カウボーイと云われていま~す。

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画像は、レックス・アレンと愛馬ココ。ココも出演者としてクレジットされています。