都合のよい時間に上映されていた『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』（2019年／監督：クエンティン・タランティーノ）を観る。タランティーノが古き良き60年代アメリカへの想いを描いたノスタルジックおたく映画です。
テレビ西部劇で人気スターとなったリック・ダルトン（レオナルド・ディカプリオ）でしたが、なかなか復活の道が開けず、焦燥の毎日を送っています。そんな彼を慰めるのが、リックのスタントマンとして公私にわたって長年支えてきた相棒であり親友のクリフ・ブース（ブラッド・ピット）。そんなある日、リックの家の隣に監督のロマン・ポランスキーと女優シャロン・テイト（マーゴット・ロビー）の夫妻が越してきます。彼らとの勢いの違いを痛感したリックは、プロデューサーのマーヴィン・シュワーズ（アル・パチーノ）の勧めでマカロニウエスタンに出演することを決意。映画はヒットし、ハリウッドに戻ってきた彼らは……
60年代に海外ドラマや映画を観まくっていた私としては、嬉しくなる作品です。『Ｆ・Ｂ・Ｉ』『マニックス』『コンバット』『グリーン・ホーネット』『対決！ランサー牧場』といった海外ドラマに、映画では『大脱走』とシャロン・テイト絡みで『サイレンサー 破壊部隊』といった具合。シャロン・テイトと劇場関係者の会話で『哀愁の花びら』が出てきますが、私がシャロン・テイトを知ったのは、この映画でした。何気ないセリフや小道具にタランティーノのおたく度が出ていますな。
リックがクリフに「オーディ・マーフィのつもりか」と言うんですが、オーディ・マーフィを知っている人が何人いますかね。絵柄がホパロング・キャシディのマグカップが並んでいるんですが、ホパロング・キャシディなんて、この映画を観ている人の９割以上は知らないと思います。『対決！ランサー牧場』が日本で放映されたことを知っている人も少ないだろうなァ。スティーブ・マックィーンやブルース・リーは知っていても、ジェームズ・ステイシーやウエイン・マウンダーを知っているのはカルトな西部劇ファンだけ。私は、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの共演作品、タランティーノ作品というだけで観にきた人の倍以上楽しめたので～す。
