未見だったので

録画していた『太陽の季節』(1956年・日活/監督:古川卓巳)を観る。誰でも知っている石原慎太郎芥川賞を獲った小説の映画化です。
高校生の津川竜哉(長門裕之)は、ボクシング部の仲間とタバコ・酒・バクチ・女遊び・喧嘩と奔放な生活をしています。街でナンパした娘・英子(南田洋子)と肉体関係を結び、英子は次第に竜哉を愛するようになりますが、竜哉は英子に付きまとわれるのに嫌気がさし、兄・道久(三島耕)へ5千円で譲渡。英子は妊娠しており、その金を道久に払い戻しますが、妊娠中絶に失敗して死にます。
石原裕次郎が主人公のボクシング部の友人役でデビューした記念すべき作品。裕次郎が主演した『狂った果実』と比べると、演出は古くさいし、明るい虚無感も表現できていない凡作。それでも、原作の持つ話題性で興行的に成功し、社会的反響を呼び“太陽族”が流行語となりました。それまでパッとしなかった日活が、時代の青春像を若い俳優で描いていくという方向性を確定。この作品をプロデュースした水の江瀧子は、長門裕之でなく裕次郎を主役に考えていましたが、素人はダメという会社の反対にあったとのこと。それで、湘南風学生言葉の指導ということで撮影所に連れ出し、強引に主人公の友人という役で出演させたそうです。出演場面では、放射線のようなオーラをはなっていますね。背が高く、不良っぽい雰囲気の中に育ちのよさそうな上品さ、明るさを持った、これまでにないスターが誕生したので~す。

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