続いて

録画していた『女囚さそり けもの部屋』(1973年/監督:伊藤俊也)を観る。未見だった梶芽衣子の“さそり”シリーズの第3作目です。
逃亡中の“さそり”こと松島ナミ(梶芽衣子)は、二人の刑事に見つかり手錠をかけられますが、持っていたドスで一人を殺し、手錠をかけた権藤(成田三樹夫)の右腕を斬り落として逃走。手錠に血まみれの片腕ぶら下げて走る姿に周囲の通行人はビックリ。アップシーンはエキストラを使っていますが、望遠ショットはゲリラロケのような感じですな。
墓場でじゃまな片腕をくわえて手錠を壊しているところを、売春婦のユキ(渡辺やよい)と出会います。ユキの家に匿われますが、知的障害で色狂いのユキの兄に襲われて反撃。殺そうとしたところをユキに泣いて止められて、ユキの家を出ます。売春組織・鮫島興行の谷田(藤木孝)がナミの正体を知って肉体を要求。ナミは谷田の情婦(真山知子)の嫉妬を巧みに利用して、情婦に谷田を殺させます。それを知った鮫島(南原宏冶)はナミを捕らえ、鮫島の女房カツ(李礼仙)は刑務所時代の恨みからナミに壮絶なリンチを加えて鳥小屋へ監禁。ショッカーの悪の大幹部のような李礼仙の衣装は笑えます。飼っているペットがカラスだなんて魔女のイメージね。
無理やり堕胎させられて死んだ売春婦の手に隠されていたメスを手に入れたナミは脱走し、売春婦たちを食いものにする悪徳医師(関山耕司)や鮫島の手下(八名信夫)たちを次々に殺害。恐れをなしたカツは自首して刑務所の中に逃げ込みます。事務所の中に隠れていた鮫島も、権藤たち警察の警護をたくみに潜り抜けたナミの出現で、逃げようとしてナミの放ったカラスに襲われてビルから転落死。右腕を失った恨みを持つ権藤は、ナミを地下下水道に追いつめ、マンホールからガソリンを流し込み火攻めにします。泥水に潜って生きのびたナミは、街娼を装ってカツのいる刑務所に入所。ナミを見たカツは恐怖のあまり精神異常をきたし、尋問にきた権藤を絞殺……
社会的弱者を食いものにする悪党への怒りの炎を燃やす展開ですが、復讐のテーマが薄れて内容的には今イチ。ホラー的映像もそぐわない気がします。それでも、知能犯的殺しのテクニックに加えて、受けに回った時の“さそり”の凄まじい強靭さには満足、満足で~す。

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