西部劇というより伝記ドラマ

友人に送ってもらった『約束の地を目指せ!』(1940年/監督:ヘンリー・ハサウェイ)を観る。モルモン教徒を率いてソルトレイクシティを作ったブリガム・ヤングの物語です。
モルモン教創始者ジョーゼフ・スミス(ビンセント・プライス)は教徒を率いてオハイオ州からミズーリ州、さらにイリノイ州に移住して教徒の町ノーヴーを作ります。モルモン教を異教とする連中がスミスを暗殺。スミスの衣鉢を継いだブリガム・ヤング(ディーン・ジャガー)はノーヴーを捨て、総勢数千人で西方への大旅行を開始します。その中には若きモルモン教徒のジョナサン・ケントタイロン・パワー)がいて、ヤングに心酔。母親や恋人(リンダ・ダーネル)を連れて新しい土地を目指しますが……
カウンシル・ブラッフスの近くで冬を越したのち、ソルトレークの盆地にたどり着き、開拓を始めます。せっかく実った穀物がイナゴの大群に襲われますが、天敵のカモメが大挙して押しよせ、イナゴを食いつくすという奇跡がクライマックス。ほぼ史実通りの展開です。ただ、ブリガム・ヤングとジョナサン・ケントの二人の視点から描いているために全体として散漫になっていますな。ヤングの敵役であるブライアン・ドンレヴィは中途半端な存在だし、ヘンリー・ハサウェイとしては不出来な作品。小粒な作品には手腕を発揮するハサウェイですが、このような大作伝記ドラマは得意じゃありませんねェ。

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画像は、タイロン・パワーリンダ・ダーネルリンダ・ダーネルは『荒野の決闘』のチワワのイメージが強すぎるせいか、清純な娘役に違和感をおぼえました。