サユリストじゃないが

録画していた『若い人』(1962年/監督:西河克己)を観る。原作は1937年に出版された石坂洋次郎出世作となった小説で、これは3度目の映画化です。
ミッションスクールの女学生・江波恵子(吉永小百合)は、父を知らない私生児。数学教師の間崎(石原裕次郎)は反抗的な彼女を心配し、恵子はそんな間崎を男性としての興味を抱きます。間崎が好意を抱いている同僚の教師・橋本スミ子(浅丘ルリ子)は、間崎の心情に共感しながらも彼と恵子の仲を嫉妬。三人の微妙な心理が人々の誤解をうみ……
舞台を原作の北の函館から南の長崎にしたことで、全体のトーンが明るくカラッとしたものになっています。裕次郎が持つキャラも影響しているかもしれませんね。吉永小百合裕次郎との初の本格的共演(『あいつと私』では傍役にすぎなかった)で、それまでに演じたことのない屈折した感情を持つ女学生に挑戦。残念ながら吉永小百合には恵子が持つ影の部分がありませんでした。どこまでも明るいのね。恵子の大胆な行動的性格は、戦前ではセンセーショナルで新鮮なものだったかもしれませんが、戦後20年をすぎるとテーマとして古いものになっているのは否めませ~ん。

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