帰省中に読んだ本

明智憲三郎:著の『本能寺の変・431年目の真実』(文芸社文庫:2014年9月25日第13刷発行)を読了。NHK大河『麒麟がくる』の主人公・明智光秀の前半生や本能寺の変には謎が多く、これまで色々な解釈がされています。早い話、信頼できる資料が少なく、多くの推論が生まれるわけですな。
本著では、信長が徳川家康暗殺を光秀に命じたことが光秀の千載一遇のチャンスとなって本能寺の変が起きたという説。信長は武田を滅ぼしたことで徳川との同盟が不要になったんですな。家康は武田の旧領を手に入れようとしており信長にとって邪魔な存在。信長と光秀は仲の良い関係で、信長は光秀を信頼していましたが、光秀は信長の領地政策についていけなくなります。それは、織田の身内で畿内を固め、家臣たちは前線を領地とするというもの。毛利を滅ぼした後は既存の領地を取り上げて、秀吉は山陽、光秀は山陰という路線は決まっていました。家康が信長の命で重臣を連れて上洛したのは、光秀から暗殺計画を知らされており、それを利用して光秀が信長を討つことを知っていたためで、定説の伊賀越え苦難はなかったとのこと。後に光秀=天海という奇説が出てきたり、春日局を重用するのも、家康と光秀に信頼関係があったからだとしています。基本的には都合のよいデータを集めて論理展開しているのですが、納得できるところもあって楽しめました。

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