懐かしの映画

カミさんと一緒にDVDで『君の名は・第一部』(1953年/監督:大庭秀雄)を観る。「女湯が空になる」と宣伝コピーに使われた人気ラジオドラマの映画化。昨年、佐渡旅行に行った時、尖閣湾の土産物店にこの作品の写真パネルが掲示されていて懐かしく思ったものです。
昭和20年5月24日の東京大空襲の夜、後宮春樹(佐田啓二)と氏家真知子(岸恵子)は数寄屋橋の上で出会い、命を助けあった二人に愛が芽生え、半年後の11月24日の夜に再会することを約束して名前をきかないままに別れます。しかし、約束の日に真知子は現れません。縁談を強引に進める叔父(市川小太夫)のために真知子は佐渡にいたのね。叔母(望月優子)は真知子を気遣いますが、真知子が悶々としている時、友人の綾(淡島千景)が雑誌に投稿された詩を見つけて春樹の居所を知らせます。真知子は鳥羽にいる春樹の姉・悠紀江(月丘夢路)を訪ねますが、春樹は東京に戻った後でした。1年後の11月24日の夜に二人は再会しますが、それは真知子が浜口勝則(川喜多雄二)と結婚する前日。勝則は春樹との仲を疑い、姑・徳枝(市川春代)は意地悪く、真知子の結婚生活は不幸なものとなります。料亭を開業するために上京した綾は、宴席で春樹と出会い、真知子の実情を知らせます。春樹は役所の雑誌編集をしていましたが、上司として転任してきた勝則によって、些細なことを理由にされて失職。真知子は夫の卑劣な態度に我慢がならず、離婚を決意して佐渡へ帰ります。春樹は真知子を追って佐渡にきますが、真知子は勝則の子を宿していることがわかり、離婚をあきらめ、泣き崩れるのです。
空襲シーンから始まり、笠智衆の元軍人や、野添ひとみと小林トシ子の娼婦、月丘夢路の戦争未亡人など、登場人物はすべて当時の社会問題そのもの。メロドラマの中に社会問題もおり込んでいます。そうした社会背景を知らないとピンとこないかもしれません。現在放送中の朝ドラ『エール』の主人公のモデルとなった古関裕而の音楽が、絶妙なタイミングで流れ、観ている人の情感を高めま~す。

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