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カミさんと一緒にDVDで『君の名は・第二部』(1953年/監督:大庭秀雄)を観る。
佐渡から帰京した春樹(佐田啓二)は、真知子(岸恵子)への想いを断ち切ろうと、北海道で牧場を経営している友人のところへ旅立ちます。一方、真知子は佐渡から勝則(川喜多雄二)のもとに帰ってきますが、姑・徳枝(市川春代)の意地悪がひどく、ストレスからくる過労で流産。昔の恋人・水沢謙吾(須賀不二男)と奈美(淡路恵子)の結婚失敗の悲劇が自分のせいと思った春樹の姉・悠紀江(月丘夢路)は鳥羽から上京。女を食いものにする悪党の横山(三井弘次)にひっかかりますが、偶然出会った綾(淡島千景)に助けられ、加瀬田老人(笠智衆)が面倒をみている梢(小林トシ子)とあさ(野添ひとみ)の果物店を手伝うことになり、店の後援者・仁科(日守新一)と結婚。勝則との離婚を決意して叔母(望月優子)と佐渡に戻った真知子は、綾からの手紙で春樹が北海道にいることを知ります。真知子は春樹に会いに北海道へ行きますが、春樹は姉の結婚式のために東京へ行って留守。牧場で働くアイヌの娘ユミ(北原三枝)はサムロというアイヌ青年と結婚を誓ったにも拘わらず春樹を熱愛しており、真知子に敵対心を持ちます。東京から帰って来た春樹が真知子と会い、自分への愛がないと知ったユミはコタンの祭りの夜に摩周湖で投身自殺。ユミを救おうとしたサムロも湖の底へ沈みます。真知子との離婚に同意しない勝則が同居請求手続きをとったために真知子は裁判所からの出頭命令で東京へ。雪模様の荒涼たる美幌駅での、真知子と春樹の別れがせつないのです。
戦争未亡人の春樹の姉・悠紀江の物語が半分近く占めています。嫁ぎ先を追い出され、自分を想っていてくれた昔の恋人・水沢は情熱的な女・奈美の誘惑に負けて結婚し、人間不信になっていたのですが、加瀬田老人や仁科の温かい心に幸せをつかむ物語。第二部では、北原三枝が魅力的で存在感をもっています。淡路恵子も愛する男の心に自分がいないと知って自殺する北原三枝と同じキャラだったんですが、北原三枝の印象が強すぎて割を食っていますね。同じキャラの登場というのは、作品的にまずいです。「忘却とは忘れ去ることなり。忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ」のラジオ放送の冒頭に流れるナレーションは映画の第一部では使われておらず、第二部からの使用。第二部では、岸恵子がロングストールを頭から巻いた“真知子巻き”が女性ファッションのブームになり、アイヌ娘ユミの心情を歌った「黒百合の歌」(歌:織井茂子)が大ヒット。

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