たまには読書

堺屋太一:著の『現代を見る歴史』(新潮文庫:1991年4月25日発行)を読了。歴史から現代を読み解くといっても30年前の本なので過去のことになります。
1章:戦後世界の構図(「米ソ対立」と「ペロポネソス戦役」)、2章:乱世の組織と才人(アイアコッカと「五代の宰相」馮道)、3章:物質文明の落日(20世紀の「ローマ帝国アメリカ)、4章:経済大国の生き方と行く末(「弱兵の経済大国」宋王朝と次代の日本)、5章:「一君万民」の思想と現実(毛沢東の中国と朱元璋の明朝)、6章:人事圧力シンドローム(豊臣政権に見る「成長組織」の陥穽)、7章:「二代目」の難しさ(「戦国」が残す二代目への処方箋)、8章:世界大恐慌の教訓(日本の「マネーブーム」と「大恐慌」前夜)、9章:日本型組織の美風と破綻(「太平洋戦争」と「日米経済摩擦」)という構成。
世界や日本が抱える課題は30年前と変わっておらず、むしろ悪化しているかもしれません。今回のコロナ問題においても、中国は「一君万民」の思想で武漢の現場責任者が習近平の顔色を窺い、指示待ちした結果、初期対応が遅れ、世界的惨事となっているわけです。日本の政府も細部にこだわって全体が見えていない構造は太平洋戦争時と変わっちゃいません。国家的体質は長い歴史の中で根を張っているものなので、一朝一夕には直りませんなァ。
馮道については私の知らない人物だったし、ペロポネソス戦争とその後のギリシャの歴史も詳しかったので勉強になりましたよ。

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