コロナ関連で

録画していた『復活の日』(1980年/監督:深作欣二)を観る。ウイルスのために人類は殆ど絶滅、南極に残されたわずかな人々の生きのびる姿を描いた小松左京の同名小説を映画化したSF大作です。

1982年冬、東ドイツの細菌研究所から新種のウイルスM-88を盗んだスパイの飛行機がアルプスに墜落します。この細菌は摂氏マイナス10度で自己増殖をはじめ、零度をこえると空気感染して猛烈な毒性を発揮。春になるとイタリアで人々が風邪に似た症状で次々に倒れ、イタリア風邪と名付けられます。初夏になると全世界で万延し、人間だけでなく動物も死亡。そのニュースは南極昭和基地にも伝わってきて越冬隊員の吉住(草刈正雄)や辰野(渡瀬恒彦)は、東京にいる恋人・則子(多岐川裕美)や妻子の身を案じていますが、則子が介護士として働く病院でも次々に患者が運び込まれ、その中に辰野の妻(丘みつ子)がいます。土屋医師(緒形拳)の治療のかいもなく患者は次々に死亡。辰野は絶望して吹雪の屋外にとびだします。ホワイトハウスでは連日閣議が開かれ、バークレイ上院議員ロバート・ボーン)はイタリア風邪の原因が、ガーランド将軍(ヘンリー・シルヴァ)がリチャードソン大統領(グレン・フォード)にも内密に開発した細菌兵器M-88とつきとめますが、ワクチンを開発する前に何者かによって東ドイツに渡ったことが判明。ウイルスの特徴を知ったリチャードソン大統領は、南極基地にメッセージを伝えて死亡。アメリカ基地のコンウェイ提督(ジョージ・ケネディ)は、南極にある各国の基地に連絡し南極会議を招集します。会議に向かう途中で、中西隊長(夏八木勲)と吉住は、ノルウェー基地で集団自殺から一人だけ生き残っていたマリト(オリビア・ハッセー)を救助。南極に残る11ヶ国863人を除いて世界は死滅し、8人の女性を含む残る人々の生活が始まります。海中にいて無事だったマクラウド艦長(チャック・コナーズ)の原子力潜水艦でワクチン開発のためにラトゥール博士(セシル・リンダー)が空気を採集。地質学者の吉住が1ヶ月以内にワシントンを垂直落下型の大地震が襲うと同室のカーター少佐(ボー・スベンソン)に伝えると、カーターは青ざめます。ガーランド将軍が死ぬ前にスイッチを入れたホワイトハウスの地下にある対ソ自動報復装置が地震の衝撃波をミサイル攻撃と感知して作動するというのね。ミサイルが発射されればソ連の報復システムも作動し、南極のアメリカ基地も核攻撃を受けます。ラトゥール博士が開発したばかりのワクチンを接種し、マクラウド艦長の原子力潜水艦で吉住とカーター少佐は報復装置解除のためにワシントンへ向かいますが……

国際的スケールで登場人物も多く、細菌と核、死に直面した時の人間の尊厳といった幅広いテーマで、まさに大作なんですが全体として深みがなく、小説のダイジェストのような大味な内容になっています。南極パート、アメリカパート、東京パートが並行して描かれ散漫になりましたね。越冬隊員役で出ていた千葉真一森田健作、永島敏行は顔を見せる程度の存在。色々なスターが出ていて、それを見る楽しみはあるんですが、南極基地に舞台を絞り込んで、人間ドラマに深みをもたせたら優れたものになった気がしま~す。

f:id:nostalji:20200719180140j:plain