週末は名作映画

録画していた『鉄道員』(1956年/監督:ピエトロ・ジェルミ)を観る。主題歌だけは何度も聴いて知っていましたが、この齢まで未見だった作品です。

仕事熱心な鉄道機関士のアンドレア(ピエトロ・ジェルミ)は末っ子のサンドロ(エドアルド・ネヴォラ)からは英雄のように慕われていますが、厳格で律儀一徹な態度で長男のマルチェロ(レナート・スペツィアリ)や長女のジュリア(シルヴァ・コシナ)からは敬遠されています。妻のサラ(ルイザ・デラ・ノーチェ)はそんな夫に忍従。ある日、アンドレアが運転する特急列車に若い男が投身自殺。そのショックで赤信号を見過ごし、衝突事故を起こしかけて降格されます。アンドレアの生活は荒み、マルチェロとジュリアは家を出ていき、鉄道のスト破りの汚名も着せられ、暗い月日が流れてゆきますが……

当時の日本の社会にもありそうな設定ですね。イタリアが身近に感じられます。サンドロの父親アンドレアに対する気持ちがよく描かれていて、涙腺がゆるみますよ。エドアルド・ネヴォラは名子役です。それと、不良息子のマルチェロがネックレスを持ち出そうとするのを知りながら、黙ってそれを置いておく母親役のルイザ・デラ・ノーチェも名演。美人というだけのイメージしかなかったシルヴァ・コシナも演技力があるじゃありませんか。カルロ・ルスティケリの音楽が、映画の哀感を一層盛り上げていま~す。

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画像は、カルロ・ルスティケリの娘アリダ・ケッリが歌う「鉄道員」のレコードジャケット。ラストシーンの、朝早く勤めに出る男のサラへの挨拶、学友がサンドロ少年に呼びかける声、工場のサイレンの響きなどがメロディーに重なって聞こえ、劇中でこの歌が流れると思っていたのですが、映画の中には歌はなく、このメロディーを使ってテストーニが詞を書き、「あなたに捧げましょう」という曲目でレコード化されたものでした。アレンジしたのは、映画音楽家になる前のエンニオ・モリコーネです。

 

墓参や母の定期検診の付き添いなどで本日より帰省。日記は28日まで休みます。