まぼろしの時代劇

CATVの時代劇チャンネルで里見浩太朗特集として放送していた『はやと(全13話)』を観了。里見浩太朗が朗でなく郎時代にテレビ時代劇初主演した子供向け30分時代劇です。テレビ朝日系列で1969年1月1日~3月26日放送。林真一郎が主演した『まぼろし城』(原作:高垣眸)の続編として企画されましたが、主人公も設定も変えられ、全く別の内容になっています。

主人公は、悪の組織“まぼろし”と戦う正義の剣士はやと(里見浩太朗)で、オープニングナレーションで「世を忍ぶ仮の名で、その人の名は誰も知らない」と言っているので、本名はわかりません。髑髏がマークの悪の秘密組織“まぼろし”は、世の中に不満を持つ大名や浪人をそそのかして争わせ、日本をわが物にしようと計画。誰に頼まれたか知りませんが、はやとを慕うリキ少年(中島貴)と一緒に、はやとが行く先々で必殺はやぶさ三段斬りの秘剣で“まぼろし”の陰謀を粉砕していきます。

1話完結で物語展開していくのですが、全体をつらぬく基軸がないので、連続物としての面白さがありません。第1話で、はやとはいきなり“まぼろし”一味に命を狙われます。おそらく、『まぼろし城』の続編にするつもりで、前作『まぼろし城』で陰謀をつぶされた“まぼろし”一味の復讐という展開にしたのだと思われますが、主人公を変えたことから、動機不明のままに物語が突入した感じです。妖術使いの役で江見俊太郎や吉田義男、ライバル剣士役で木村功内田良平、女忍者役で真山知子や三島ゆり子など、ゲストは名の知れた俳優なんですが、やっていることがせこくて日本を危機におとしめるようなものでないんですな。最終回でやっと首領のまぼろし(清水元)が登場。正体不明の不死身の男ですが、正体がわかった瞬間、急所もわかり、はやとにアッサリ倒されます。スリルもサスペンスもない演出で、話題にならなかったのが納得、納得で~す。

f:id:nostalji:20201124070505j:plain