口直しに

録画していた西部劇『西部魂』(1941年/監督:フリッツ・ラング)を観る。電信建設を舞台にした本格西部劇です。

何者かに追われていたヴァンス・ショー(ランドルフ・スコット)は、落馬して重傷を負ったクレイトン(ディーン・ジャガー)を助けます。クレイトンはウエスタンユニオン電信会社の技師長で、ネブラスカオマハからユタのソルトレイクまで電信網の延長を計画。建設工事の準備が始まり、ショーはクレイトンに雇われます。クレイトンの友人の息子リチャード(ロバート・ヤング)が電信技手として加わり、クレイトンの妹スウ(ヴァージニア・ギルモア)に一目惚れ。ショーもスウに惹かれており、ショーとリチャードは恋のサヤ当てを演じます。工事建設が始まり、二人はスウと別れ、荒野へ。行く手にはインディアンや建設現場の物資を狙う無法者が待ち構えており……

電信建設を全面的に謳うのでなく、オーソドックスな西部劇です。ランディが追手から逃れるため野牛の中を疾駆して馬が足を痛め、ジャガーから馬を奪うつもりが負傷しているのを見かねて民家まで連れて行く冒頭のシーンを観ただけで、西部劇そのものという感じで嬉しくなります。フリッツ・ラングは、ギルモアをめぐるランディとヤングの恋の駆け引きや、嫌々働くコックのスリム・サマーヴィルの喜劇的要素をおりこみ、最後は悪党一味との決闘という定石的展開を、一味違う映像描写で演出しています。ただ最後の銃撃戦は今イチ。ランディが1対4の決闘に臨み、手下3人を倒し、ボスのバートン・マクレーンも負傷させますが自分も重傷を負って死にます。そこへロバート・ヤングがやって来て、マクレーンとの決闘。ボードウォークをコトコト音をひびかせながらヤングがマクレーンに近づいていくのですが盛り上がらないんですよ。ヤングに決闘者の気迫を感じないんです。ロバート・ヤングは、やっぱり『パパは何でも知っている』だァ。

『モホークの太鼓』と同様に、テクニカラー作品だったのですが、日本で公開された時はモノクロ・フィルムでした。映写機にはカラー用もモノクロ用もないと思うのですが何故だろう。

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