任侠映画といっても

録画していた『日本侠客伝・絶縁状』(1968年/監督:マキノ雅広)を観る。シリーズ8作目で、暴力団組織内の権力抗争を描いた任侠映画です。

時代は現代(本作が制作された1960年代)、東京の一大勢力・天明会の橋爪会長(井伊友三郎)が、暴力団取締まりの強化に乗り出した警察によって常習賭博で逮捕されます。天明会傘下の最高幹部である浜田組の浜田(高倉健)は、昔ながらの侠客道をつらぬくヤクザ。そんな古いやり方に賛同するのは、浜田の妻・寿賀子(松尾嘉代)の兄で平井組を仕切る平井(菅原謙二)くらいで、赤堀(遠藤辰夫)たち叔父貴衆は闇金融などで縄張りを広げる上野組の上野(渡辺文雄)を支持。上野は浜田の唯一の資金源である賭場を警察に密告し、浜田を窮地に追い込みます。浜田は、会長の友人の建設会社社長(宇佐美淳也)から、組を解散すれば会長は仮釈放されると知らされます。浜田は組を解散し、会長は釈放。堅気となって土建業を始めた浜田ですが、上野のやり方で天明会の評判が悪くなったのを知った会長は、平井に浜田を呼んでくるように言いますが……

任侠映画というのは時代劇の世界で、それを現代にもってきたことに無理があり、絵空事が目立ちます。しのぎが賭場のあがりだけで、縄張り内での所場代(みかじめ料)や喝あげをしないヤクザなんて60年代では考えられないでしょう。直接の敵対関係がない元子分の藤山寛美が殺され、兄貴分の菅原謙二が殺され、健さんが殴り込みするのですが、とってつけた感じです。渡辺文雄の近代的なセンスのインテリ悪党ぶりは悪くないですが、これまで観た“日本侠客伝”シリーズの中では一番不出来な作品で~す。

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