最後に

録画していた『日本侠客伝・刃(ドス)』(1971年/監督:小沢茂弘)を観る。明治中期の金沢を舞台に政治の民主化を訴える代議士を守って戦う男を描いたシリーズ最終作の任侠映画です。

母の郷里である金沢にやって来た松吉(高倉健)は、空腹で行き倒れになるところを芳恵(十朱幸代)に救われます。彼女を一生の恩人と思い、松吉は黒兵衛(辰巳柳太郎)の経営する馬車会社に就職。渡世人の御家政(池辺良)や、黒兵衛の主人筋で民主化運動をしている青山(大木実)と知りあいます。ヤクザあがりの本堂(渡辺文雄)は、右翼団体の救国社を率いて青山と敵対。本堂は芳恵の弟を使って青山を殺そうとしますが、松吉が芳恵の弟を本堂から助け出して金沢を去ります。4年後、第2回総選挙を迎えて金沢では代議士の青山と救国社の対立が激化。芳恵は青山の妻になっており、渡世人となって帰ってきた松吉は陰ながら芳恵を見守ります。しかし、青山を手伝っていた黒兵衛が殺され、青山も襲われたことから松吉は……

仕事仲間(玉川良一・山本麟一・汐路章)とのやりとりや、威勢の良さを発揮する前半部分の健さんは“網走番外地”で、十朱幸代にもらって大事にしていた装束で殴り込みを決意し、渡世の義理で本堂についていた池辺良が、本堂のやり方に嫌気がさし、健さんに味方する後半部分の健さんは“昭和残侠伝”ね。小沢茂弘の演出は、マキノ雅広のような情感はありませんが、健さんの二大魅力の集大成といった感じで、シリーズの最後にふさわしい作品で~す。

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