好きな題材なので

そのうち文庫本化されるだろうと思いながら待ちきれずにゲットした逢坂剛:著の『最果ての決闘者』(中央公論新社:2019年10月25日初版発行)を読了。土方歳三が函館で死なず、アメリカ西部に行って冒険する西部小説です。

銃弾で頭を負傷して意識不明の歳三を、長崎で英語を習得した同郷の部下が、戦死した兵士を身代わりにし、函館に停泊していた米国商船に交渉して、歳三を慕う自分の妹ゆら(兄と共に長崎で英語を習得)と一緒に密航させます。歳三は負傷がもとで記憶喪失になっており、内藤隼人と名前を変えてゆらと共に西部を放浪。西部の荒野で冒険する『果てしなき追跡』の続編です。

歳三を憎んで執拗に追跡してきた連邦保安官のマット・ティルマンを倒しますが、アパッチに襲われてゆらと離れ離れになります。今作は歳三のストーリーは殆どなく、歳三を捜す人々を中心に展開。新たに登場するのが、ティルマンの娘で女ガンマンのダニエル・ティルマンと、日本で殺人を犯して密航してきた、ゆらに横恋慕し歳三に恨みを持つ元新選組隊士の高脇正作。ラストはゆらとダニエルが見ている前での歳三と正作の決闘。歳三は正作を倒すものの断崖から河に落ちて流されます。末尾に(第二部 完)とあるので、第三部に続くのでしょう。

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