週に一度は西部劇

DVDで『白昼の決闘』(1946年/監督:キング・ヴィダー)を再見。セルズニックが『風と共に去りぬ』の西部劇版を意図して制作した大作西部劇です。

両親を亡くしたパール(ジェニファー・ジョーンズ)は、父の従姉妹であるローラ(リリアン・ギッシュ)の元に身を寄せます。ローラの夫ジャクソン(ライオネル・バリモア)はテキサスの大牧場主で頑迷固陋な性格。ローラにはジェシージョゼフ・コットン)とルート(グレゴリー・ペック)の二人の息子がおり、ジェシーは紳士で知的な弁護士。ルートは粗野なカウボーイ。ジャクソンはルートを男らしいと思い愛しています。パールはルートよりジェシーに心惹かれますが、ルートに体を奪われたことから……

迫力ある銃撃戦を期待した当時の西部劇ファンは、題名からのイメージと内容とのギャップに不満を感じたとのこと。セルズニックが妻であるジェニファー・ジョーンズの魅力を存分に発揮させるための作品と揶揄もされました。男と女の愛憎ドラマで、最後の決闘まで愛憎劇ですからね。

保守的な開拓牧場主と文明の象徴である鉄道との対立、そして夫婦、親子、兄弟の愛と憎しみからくる家庭の崩壊物語でもあります。

オットー・ブロワーとB・リーヴス・イースンの2人が第2班の監督をし、撮影にリー・ガームス、レイ・レナハン、ハロルド・ロッスンの3人を起用。音楽はディミトリ・ティオムキンで壮麗な曲をつけています。まさに超大作です。

再見して感じたのは、最近の映画にはない華麗さと重厚さね。色彩の使い方の鮮やかなこと。テリー・ロッシュ(パールの母親役)が激しい踊りを見せる酒場のモブシーンや、バリモアが牧童たちを率いて鉄道現場に押し寄せるシーンなどは現在の撮影では不可能。場面と場面をつなぐちょっとした情景にも西部の空間的拡がりを見せてくれま~す。

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