週に一度は西部劇

録画していた『荒野のストレンジャー』(1972年/監督:クリント・イーストウッド)を再見。悪い奴らがのさばる町にやって来た謎の男の物語。

高原の町ラーゴに不気味な流れ者(クリント・イーストウッド)がやって来ます。酒場で絡んできた3人の男を床屋で撃ち殺すと、何か因縁のありそうなカリー(マリアンナ・ヒル)という女性を強姦。カリーは入浴中の流れ者を撃ちますが、流れ者は傷を負わず、保安官(ウォルター・バーンズ)がカリーを取り押さえます。かつて町で暴れたブリッジス(ジョフリー・ルイス)3兄弟が出所した報せが町に入り、流れ者は用心棒として雇われますが、世話をしてくれる小人のモーデカイ(ビリー・カーディス)を使って奇妙な行動をはじめ……

フレンチ・コネクション』の脚本でオスカーを得たアーネスト・タイディマンの当初の脚本では、物語の舞台は砂漠の真ん中にある西部の町でしたが、イーストウッドは従来の西部劇と異なる外観が欲しいと主張してカリフォルニア州モノ湖の岸辺にオープンセットを設営したとのこと。それと、主人公は殺された保安官の兄弟という設定なんですが、イーストウッドは曖昧なままにして幽霊を思わせる演出にしています。この二つで、従来の西部劇にない異色なものになりました。

一般的にセルジオ・レオーネから影響を受けた作品と云われていますが、イーストウッドは否定しています。私も、それほど影響は受けていないと思います。レオーネがハリウッド西部劇に負けない西部劇作りをしようとしているのに対し、イーストウッドは従来の西部劇にはないものを作ろうとしているからです。レオーネには従来の西部劇が前提にあり、もしこの作品をレオーネが作ったら、砂塵舞う荒野の町を舞台に復讐する男(正体は最後に明かされる)の物語になっていたと思いま~す。

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