週に一度は西部劇

録画保存しているマカロニ西部劇『南から来た用心棒』(1967年/監督:ミケーレ・ルーポ)を再見。

凶悪な強盗団ゴルドー(フェルナンド・サンチョ)一味が刑務所を襲い、助けた囚人を手下にするんですが、仲間にならないのが主人公のアリゾナ・コルト(ジュリアーノ・ジェンマ)ね。コルトを殺すために手下をさしむけますが、逆にコルトにやられる仕末。ブラックストーンヒルの町にやって来たコルトは、銀行襲撃の下調べにやってきたゴルドーの手下ケイ(ジョバンニ・パッツァフィーニ)に殺された妹の仇討ちを酒場の娘ジェーン(コリンヌ・マルシャン)から引き受け、ケイを殺しますが、ゴルドーに捕まり両手両足を撃たれます。ゴルドーの残虐さに嫌気がさした手下のダブルウイスキー(ロバート・カマルディエル)はコルトを助け、ゴルドーが隠していた強奪金を横取りするのね。ゴルドーは強奪金をダブルウイスキーから取り返すために再び町を襲い……

『続・荒野の用心棒』を再見しようと、DVD保存箱をひっかきまわしていたら、こっちが出てきたのでこっちを優先。私の好きな作品です。大学に入って最初に観た映画。ラオールが歌う主題歌は公開前からラジオで流れていて、ヒットチャートの上位にランクされていました。主題歌が良くて、公開されるや映画館に駆けつけたのです。当時は、マカロニ主題歌がヒットするものだからレコード収録が先行して、「暗黒の用心棒」(砂塵に血を吐け)や「鮮血の無法者」(地獄から来たプロガンマン)のように公開時の邦題と違ったものもありました。

『荒野の1ドル銀貨』でマカロニ日本初お目見えしたジェンママカロニの日本公開2作目で、ジェンマの日本での人気を不動のものにした作品で、いい意味でも悪い意味でもマカロニらしい作品です。手下を補充するために武装した兵士のいる刑務所を襲撃するなんてナンセンス(普通なら襲撃してもかなり犠牲がでる)なんですが、兵士たちが一方的に殺されるのはマカロニ的ね。拳銃を布で包んで音が出ないようにして銀行を襲っても、結局銃撃戦になり、町の住民が一方的に殺されるのもね。牛を売った帰りのカウボーイたちを待ち伏せして、逃げさせて射ち殺すのもマカロニ定番です。そして、悪党たちの高笑い。ミケーレ・ルーポの演出は褒められたものではないですが、ジュリアーノ・ジェンマの明るいキャラがこの作品を愉しいものにしています。ラストでジェンマに両足を撃たれて棺桶に転げ落ちるサンチョなんて笑えますよ。

主人公はイカサマ賭博をしたり、謝礼に一晩抱かせろと言ったり、品行方正じゃないんですが、ジェンマが演じると何故か爽やかです。傷の癒えた(すぐに治るのがマカロニ的ね)主人公が、偽の両腕で油断させ、はねのけた上着の下からホンモノの両手があらわれ、あざやかなファニング(ファントマ撃ちと宣伝していたな)を見せるのもジェンマらしくてグッド。主題歌もよくて、リアルタイムで観たマカロニ世代にとっては記憶に残る作品だと思いま~す。

画像は、『南から来た用心棒』のレコードジャケット。