週に一度は西部劇

スカッとした西部劇を観たいと思い、録画保存していたマカロニ西部劇『真昼の用心棒』(1966年/監督:ルチオ・フルチ)を観る。この作品の惹句は、“必殺のコルトをだいて、ふるさとに帰って来た、さすらいの男”

農場を兄のジェフ(ジョージ・ヒルトン)に譲って旅に出ていたトム・コーベット(フランク・ネロ)は、友人からの手紙で故郷に戻ります。農場はスコット(ジョン・マクダグラス)のものとなっており、銀行もスコットの所有で町はスコット一家に牛耳られているんですな。ジェフは呑んだくれていて事情を話さず、手紙をくれた友人は一家皆殺しにあいます。スコットに会いに行ったトムは、スコット・ジュニア(ニーノ・カステルヌオーボ)から鞭の洗礼。ジェフと一緒に暮らしているトムの乳母がトムに事情を語ろうとしてスコット一家に撃ち殺され、ジェフとトムはスコットと戦うためにスコットの牧場へ。途中でジェフから意外な事実を聞かされ、トムと話し合いにきたスコットはスコット・ジュニアに殺されます。トムはスコット・ジュニアと対決するために……

ネロとカステルヌオーボは実は兄弟で、父は性格異常のカステルヌオーボでなくネロに遺産を譲るために友人に手紙を託したわけね。ヒルトンとネロは異父兄弟ということで、ヒルトンの話からすると、ヒルトンの父を殺してヒルトンの母親を犯して産まれたのがネロということになるのかな。ネロが赤ん坊の時に母は死んでおり、ヒルトンとネロは乳母に育てられたようね。この辺の血縁関係は曖昧ですが、マカロニは人間ドラマが目的でなく音楽と射ち合いを楽しめばいいのです。クライマックスの大銃撃戦はガンプレイが豊富で、これぞマカロニ。

タランティーノの『ジャンゴ繋がれざる者』に影響を与えた作品。メキシコ農民に犬をけしかけて噛み殺させたり、ニーノ・カステルヌオーボの白い服装とかね。それと、『刑事』や『シェルブールの雨傘』で、クラウディア・カルディナーレカトリーヌ・ドヌーブの恋人役だった二枚目のカステルヌオーボが異常性格の悪党を演じていたことが、ディカプリオがキャスティングされた理由にあったんじゃないかな。

手元に『真昼の用心棒』のパンフレットがあるんですが、中身は解説になっていない“かいせつ”。出演者のフランコ・ネロとニーノ・カステルヌオーボの紹介。ジョージ・ヒルトンについては全く触れていません。後年、マカロニホラーの巨匠になるルチオ・フルチについては、有望な新人監督と一言だけで紹介。 “イタリア製西部劇の人気をささえるもの”として音楽をあげており、主題歌を歌ったセルジオ・エンドリゴについて紹介しています。後はページを埋めるために、どうでもいいようなコルト・ピースメーカーの説明。

ところで、『真昼の用心棒』の主題歌を千葉真一が歌っています。「千葉真一の魅力」というLPに収録されているんですよ。♪~馬と拳銃(ガン)と飢えと砂の、はてない旅、はてない旅~