何度も映像化されているが

録画していた『顔』(1957年・松竹/監督:大曾根辰保)を観る。松本清張の小説が初めて映画化された作品。

東京に向かう列車の洗面所で男(山内明)と女(岡田茉莉子)が言い争っているのを石岡(大木実)が目撃します。男は指名手配されている無免許の堕胎医師・飯島で、女は飯島と別れたがっている水原秋子。秋子は飯島を列車のデッキから突き落とします。警察は事故死と判断しますが、病院の死体置場に女から花束が届けられたことから、当初から事故死に不審を抱いていた長谷川刑事(笠智衆)が捜査を開始。石岡は目撃談をネタに警察や新聞記者の前田(内田良平)から小金を稼ぎます。秋子はファッションモデルとして顔が売れはじめ、石岡は秋子が落としたコンパクトを現場から持ち去っており、秋子に接近していきますが……

原作では映画俳優として顔が売れはじめる男が犯人ですが、東宝から松竹に移籍した岡田茉莉子の主演作品ということで主人公が女性に変更されました。ドラマでは何度も映像化されており、女性を犯人としているのが半分近くもあるのは、この作品の影響があるかもしれません。

岡田茉莉子の顔演技と黛敏郎の音楽が印象に残るくらいで、サスペンスとしての緊迫感はありません。全体的に冗長な展開。ただ、古き東京の景色を楽しめたので満足で~す。