ドラマで比較

録画していたテレビドラマ『顔』を観る。2009年に松本清張生誕100年にあたってNHKで放送されたドラマの再放送です。

井野良吉(谷原章介)は、端役で出演した映画で注目され、大作映画の主演に抜擢されますが自分の顔が売れるのを恐れています。9年前に恋仲だった山田ミヤ子(原田夏希)を殺しており、列車の中でミヤ子と一緒のところをミヤ子の知りあいの石岡(高橋和也)に目撃されていたからです。もし、石岡が映画で自分の顔を見たら……と考え、石岡の殺害を計画。井野は石岡を誘き出しますが、落ち合う前に料理店で偶然石岡と出会い、石岡が自分の顔を憶えていないことを知ります。井野は安心して映画撮影に臨み、大ヒット作品になりますが……

原作が発表された時期と同じ時代設定にし、原作通りに展開します。無理に物語を作った映画の『顔』と違って、スッキリした仕上がりになっています。時代の雰囲気は、映画にはかないませんけどね。名声への執着と、破滅への恐怖の間で揺れる男の心情を、谷原章介は見事に表現していま~す。