清張関連で

録画していた『彩り河』(1984年・松竹/監督:三村晴彦)を観る。夜の銀座に君臨する財界の黒幕に挑む男たちを描いた松本清張原作のサスペンス映画です。

かつては東洋商産の重役だった井川(平幹二朗)は、落ちぶれて首都高の料金所で働いており、昔の恋人・和子(吉行和子)が東洋商産の現社長・高柳(夏八木勲)と車に同乗しているのを目撃。和子は銀座の高級クラブの雇われマダムで、和子に体よく追い払われた井川は、東洋商産の不審な金の流れを調べている記者の山越(渡瀬恒彦)から、店のパトロンは高柳でなく陰の黒幕がいることを聞かされます。後日、和子が殺され、高柳が巨額負債を抱えて自殺。ふみ子(名取裕子)という女性が店の雇われマダムになり、夜の銀座で車の手配をしている譲二(真田広之)という青年と親しくなります。ふみ子のパトロンである下田(三国連太郎)は、表向きは相互銀行の社長ですが、裏では闇金融をしており、政界にも顔がきく財界の黒幕。ふみ子の両親は下田によって死に追いやられており、復讐の機会を狙っていますが……

銀座に集まる財界人の闇の人間関係と、彼らの暗躍の陰で人知れず消えていく人々の悲劇を、ふみ子と譲二の愛を絡めて描いています。製作の野村芳太郎、監督の三村晴彦、それに加藤泰仲倉重郎の4人が脚本を担当しており、船頭が多くてまとまりのない作品です。前半と後半では質感が違うものになっています。登場人物はやたらと多いのですが、三国連太郎の悪党演技だけが目立つ凡作で~す。