西部劇風を期待して

録画していた『トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング』(2019年/監督:ジャスティン・ガーゼル)を観る。19世紀のオーストラリアでその名を知られたアウトローの生涯を描いた実話映画です。

貧しいアイルランドの流民の家庭に育ったネッド・ケリーは、頼りにならない父の代わりに幼い頃から家庭を支えてきましたが、父の死後、母(エシー・デイビス)は生活のために山賊のハリー・パワー(ラッセル・クロウ)にネッドを売りとばします。ネッドはハリーの共犯として10代にして入獄。出所したネッド(ジョージ・マッケイ)は娼館で暮らすメアリー(トーマシン・マッケンジー)と恋に落ち、家族のもとに帰ります。しかし、イングランド人の警官たちは難癖をつけてはネッドや家族に嫌がらせ。ネッドは弟や仲間たちとケリー・ギャング団を結成しますが……

ネッド・ケリーはアメリカのジェシー・ジェームズと同じようにオーストラリアでは人気のある無法者で、これまでにも『太陽の果てに青春を』と『ケリー・ザ・ギャング』で映画化されています。この作品では史実を重視するあまり、権力への反抗や貧乏人の味方といったものが表現されていません。ケリー家に向けられる問題ばかりに終始しているんですよ。ジャスティン・ガーゼルの独特の映像感覚は認めますが、そのため西部劇的映像を期待していた私としてはガッカリ。子ども時代のネッドを演じたオーランド・シュワートは眼力が素晴らしく、グッドで~す。