週に一度は西部劇

DVDで『決断の3時10分』(1957年年/監督:デルマー・デイビス)を再見。

駅馬車強盗団の首領ベン(グレン・フォード)が町で捕えられ、彼を護送する役に牧場主のダン(ヴァン・ヘフリン)が参加。干ばつのために水を得る資金が必要だったんです。ベンの配下が奪還を考えており、保安官たちが囮となって配下をひきつけ、その隙にコンテンションの町からダンが3時10分の列車でベンをユマの牢獄に送る計画でしたが……

アクションシーンとか衣装や銃器などは時代を感じさせますが、現在観ても決して古びていません。

2009年にリメイク作品が公開されましたが、それより優れているところが多々あります。特に優れているのが構図の素晴らしさです。タイトルクレジットの下を駅馬車が走る遠景から、駅馬車が近づいてき、牛の群れが駅馬車を妨害します。グレン・フォード率いる強盗団の襲撃を小高い丘の上から見ているヴァン・ヘフリン親子。この冒頭シーンの映像は見応えがあります。奥行があって、空間的な拡がりがあり、西部劇の醍醐味を感じますね。最近の映画は動きを重視するせいか、静的映像が軽視されているような気がします。

フランキー・レーンが歌う主題歌のメロディーが随所の流れ、雰囲気を盛り上げるのもグッド。リアリズムあふれる内容ですが、フォードとヘフリンの間に友情が芽生えたとしても、あのラストは甘すぎです。部下を楯にとった馭者を部下もろとも射殺する冷徹なキャラが活かされていません。それでも、やたら殺しすぎの感があるリメイクのラストシーンより、常識的なラストのこの作品の方が私の好みですけどね。

エルモア・レナードの原作「3時10分発ユマ行き」は、村上春樹:訳の『オンブレ』(新潮文庫:2018年2月1日発行)に収録されています。映画と違って原作は、主人公がプロの保安官の短編小説。保安官とギャングというプロ同士の駆け引きがハードボイルド・タッチで描かれています。人間ドラマとしての面白味は映画の方にありますが、対決だけに凝縮させた緊迫感の面白さが小説にはありました。