懐かしのSF映画

友人に送ってもらった『渚にて』(1959年/監督:スタンリー・クレイマー)を再見。核戦争後を描いたSF映画です。

1964年、核戦争がおこり北半球は放射能に汚染されて人類は絶滅。タワーズ艦長(グレゴリー・ペック)指揮の米原子力潜水艦ソーフィッシュ号がオーストラリアのメルボルンに入港。オーストラリアの若い海軍士官ピーター(アンソニー・パーキンス)は、妻(ドナ・アンダーソン)と赤ん坊を残し、ソーフィッシュ号に同乗して北半球の偵察に行くよう司令官(ジョン・テイト)に命じられます。タワーズ艦長に会ったピーターは自宅でのパーティにタワーズを招待。タワーズはモイラ(エヴァ・ガードナー)と原子科学者のオスボーン(フレッド・アステア)と知りあいます。タワーズとモイラは惹かれあいますが、ソーフィッシュ号はやがて出航。放射能に覆われたサンフランシスコは死の町と化し、謎の無電が発信されているサンディエゴに向かいます。無電はカーテンの紐に引っ掛かっていたコーラの瓶による風のいたずらであることが判り、艦はメルボルンに帰港。放射能は南半球にも迫っており、タワーズたちは最後の幸せのひと時を過ごしますが……

絶望的状況の中でも人々はパニックになって暴動がおこるわけでなく、ある意味“超現実映画”といえます。あるべき人間の生き様が、名優によって演じられることによりリアリティをもってくるんですね。人であふれていた集会広場がひとっこひとり見えなくなって、「兄弟よ、まだ時間はある」というスローガンが書かれた旗だけが風にはためいているラストが秀逸。核戦争を扱った作品で、これほど静かに訴えてくる作品は他にはありませ~ん。