懐古趣味的時代劇

友人に送ってもらった『水戸黄門漫遊記・怪力類人猿』(1956年・東映/監督:伊賀山正徳)を観る。月形龍之介の“水戸黄門”シリーズ7作目です。

水戸黄門月形龍之介)・助さん(月形哲之介)・格さん(加賀邦男)・お蝶(千原しのぶ)の一行は、銚子の町で人間業とは思えない殺人事件に遭遇。怪しい笛の音を追って行くと、船のマストの上に巨大な猿。船蔵で砲弾や火薬を発見しますが、船主の文左衛門(阿部九洲男)一味に見つかり、火薬の樽に押し込められて海中へ。危ないところを漁師の佐吉(片岡栄二郎)に助けられます。黄門と格さんは、佐吉の命を狙っている欲張りの網元(山口勇)を懲らしめ、助さんとお蝶は文左衛門を追って宇都宮へ。紀州貞光を将軍にして幕府の実権を握ろうとしている宇都宮城主・本多上野介(永田靖)は、将軍の日光参詣を機に巨大な猿ゴリラ上覧を餌にして宇都宮城に招き、暗殺を計画。ゴリラを笛で操るのは取り潰しとなった福島正則の遺児・お浪(喜多川千鶴)で、家臣の文左衛門は上野介と結託して御家再興を考えていたんです。助さんとお蝶の情報から黄門は、将軍・綱吉に会いに行きますが……

ご都合主義の展開で、話はトントン進んでいきます。だけどツボは押さえており、気楽に愉しめる娯楽時代劇に仕上がっています。本筋にゴリラはあまり絡まず、いなくても成立するようなストーリーなんですが、怪獣が出てくると子供が歓びますからねェ。