意外な気がして

録画していた『五匹の紳士』(1966年・松竹/監督:五社英雄)を観る。時代劇の演出で名が知られるようになった五社英雄が監督したクライム・サスペンス。

元銀行員の笈田(仲代達矢)は轢き逃げの重過失で実刑を受け、入獄していましたが出所が近くなり囚人仲間の千石(平幹二朗)から1500万円の儲け話をもちかけられます。その仕事というのは3人の男の殺害。出所した笈田は千石の愛人を訪ね、最初の標的・元木(井川比佐志)の居所を知ります。元木と親しくなり、隙をみて殺そうとしますが、その前に元木は二人の男(天本英世と辰巳八郎)に殺され、孤児となった元木の娘・巴(上原ゆかり)を連れて第2の標的・梅ケ谷(田中邦衛)を訪問。梅ケ谷は二人の男に追われて行方不明。笈田は梅ケ谷を捜し出しますが、梅ケ谷も口を閉ざしたまま二人の男に殺されます。第3の標的・冬島(中谷一郎)を二人の男より先に見つけた笈田は事件の真相を知るために冬島を脅迫。2年前に千石・元木・梅ケ谷・冬島の4人は職業安定所で知りあい、千石の計画で密輸組織から麻薬取引の金3千万円を強奪。公金横領で逃亡中だった千石が金を隠し、自首して刑務所へ。千石が出所したら山分けする計画でしたが、奪われた金を追っていた組織の殺し屋二人がその前に現れたんですな。笈田と冬島は、二人の殺し屋と対決し……

事件の真相解明を軸に、人生の敗残者である五匹の紳士のエピソードが絡んで展開していきます。白黒画面が効果的な欧米風フィルムノワール演出。だけど情実に訴えるところは邦画の欠点。設定にも無理があり、役者の魅力で持ちこたえた作品です。俳優座提携作品ということで、松竹作品でありながら東映東宝の臭いもしますな。囚人役で、夏八木勲菅貫太郎が顔を見せていま~す。