週に一度は西部劇

DVDで『スポイラース』(1942年/監督:レイ・エンライト)を観る。1900年のアラスカを舞台にした痛快アクションです。

ゴールドラッシュにわくノームの町は、一攫千金を夢見る荒くれ男たちで溢れています。殺人や鉱山横領は日常茶飯事。鉱山管理官マクナマラランドルフ・スコット)は地位を利用し、悪徳判事と組んで有望な金鉱の採掘権を巻き上げています。マクナマラの狙いは、ロイ(ジョン・ウェイン)とデキシー(ハリー・ケリー)が所有するミダス鉱山。酒場のマダムのチェリー(マレーネ・ディートリッヒ)はロイに首ったけで、ロイもチェリーが好きなのですが、ロイが判事の姪ヘレン(マーガレット・リンゼイ)と仲良くしているのを見て、心ならずもチェリーはロイと別れてしまいます。マクナマラは、ロイが判事に味方するようにヘレンを差し向けたんですな。マクナマラの悪計は成功するかにみえましたが……

原作はレックス・ビーチの古典で、5度映画化されています。これは4度目の作品。ラストのウェインとスコットの壮絶な殴りあいが見せ場で、最近の跳んだり蹴ったりのアクションと違って、酒場をぶっ壊しながら、ひたすら殴りあうアクションは逆に新鮮に感じます。

レイ・エンライトの演出は平板で、ラストまで盛り上がりのない展開ですが、ユーモアを散りばめた嬉しくなるようなシーンが至る所にあって満足。ホテルが満室で男が帰りかけたら、撃たれて階段を転がり落ちてきた男を見て、ホテルの支配人が一室空いたと言って帰ろうとした男を呼び止める冒頭のシーンには笑いましたね。

出演者では、ディートリッヒに一途な想いを寄せている酒場の賭博師が、サイレントの名優リチャード・バーセルメスだったのはビックリ。