本日も

東映チャンネルで放送された『警視庁物語・一〇八号車』と『警視庁物語・遺留品なし』を観る。

『警視庁物語・一〇八号車』(1959年・東映/監督:村山新治)は、パトロールカーの警官を殺した犯人を追う刑事たちの捜査を描いたシリーズ11作目。

パトカー警視108号が巡回中に不審な小型トラックを見つけ、職務尋問しようとした警官が拳銃で撃たれて死亡。犯人は二人組でトラックのナンバーを手掛かりに、捜査本部の刑事たちが捜査を開始。登録されているナンバーの所有者は、すでに中古車販売の仲介でトラックを売っており、新しい所有者の住所と名前は偽名とわかります。膨大な交通違反調書の中から問題のトラックがスピード違反をしており、運転していたのが木谷という前科者と判明。元のトラック所有者のところへトタックの名義変更にやってきた若者(曽根晴美)を逮捕すると、木谷の務所仲間だったことがわかります。刑事たちの証拠をつきつけた厳しい尋問で若者は木谷と有楽町の地下駐車場で待ち合わせすることを自白し……

東映娯楽版が若手時代劇スターの登竜門になっていたのと同様に、警視庁物語は若手現代劇スターの登竜門になっていたようです。1作~5作が南原宏治(当時は南原伸次)、6作~7作が波島進、8作~9作が大村文武、そして前作『顔のない女』から南廣です。

この映画で警視庁の殉職者を祀る弥生廟(現:弥生慰霊堂)の存在を初めて知りました。これまで、映画やテレビで数多くの刑事ドラマを観ていますが、ロケに使われたのはこの作品だけじゃないかなァ。

『警視庁物語・遺留品なし』(1959年・東映/監督:村山新治)は、アパートの自室で殺された女性の殺害事件を追う刑事たちの捜査を描いたシリーズ12作目。

アパートの自室で電話交換手の坂井久子が殺害され、遺留品は残されていないものの、現場の状況から顔見知りの犯行と考えられ、刑事たちはアパートの住人(星美智子)や久子の同僚たちに聞き込みを開始。久子が以前つきあっていた男(木村功)にはアリバイがあり、結婚相談所で知り合ったという池原という男が浮かび上がります。池原は結婚詐欺師で久子が所持していた無記名投資信託を換金。池原に騙されて会社の金を使い込んだ女が池原のアパートを知っており……

木村功や星美智子だけでなく、殿山泰司も結婚相談所のオヤジ役で、刑事たちが聞き込みを行う普通なら大部屋役者がやるような役で出演しています。棒読みセリフの大部屋役者と違って、犯人じゃないかと思わせたりしてね。捜査対象や聞き込みの対象となる人物を表情豊かに描くのが定番になってきました。