たまには社会派

録画していた『MINAMATA-ミナマタ-』(2020年/監督:アンドリュー・レヴィダス)を観る。写真家W・ユージン・スミス水俣病の実態を世界に知らせた実話を基にした映画です。

1971年のニューヨーク、かつての栄光も遠のき、酒に溺れる生活をしている報道写真家ユージン・スミスジョニー・デップ)のところへ日系女性アイリーン(美波)が訪れます。アイリーンはスミスに、日本にきて水俣病の惨状を世界に伝えてほしいと懇願。友人であるライフの編集長ボブ・ヘイズ(ビル・ナイ)の薦めもあって日本へ行くことを決心。水俣市にやってきたスミスは、チッソ工場からの廃液による水銀中毒で喋ることも身体を動かすこともできない子どもを持つ松村夫妻(浅野忠信・岩瀬晶子)や、身体の痛みを訴えるキヨシ(加瀬亮)、元凶であるチッソ工場を告発する運動家・山崎(真田広之)たちと知りあいます。チッソ工場の野島社長(國村隼)からの買収を拒絶したスミスは……

ドキュメンタリーと違って演出もありますが、水俣病の実態を適格に伝えています。ラストの入浴する母親と水俣病の子の写真撮影のシーンに感動。涙が出てきますよ。報道写真家魂をジョニー・デップが自然体で演技。スミスの人物像を具現化していますね。

水俣病は日本の高度経済成長期における住民犠牲のひとつ。日本人の心情の特質として嫌な思い出はなかったことにしたい気持ちが強いので、公開にあたっては反対する人が多かったようですが、なかったことにできない問題もあるのです。スミスが日本に来た時は、チッソは廃液を流さなくなっていましたが、想定外をなくすように努めるのが、政治家であり経営者の責任なので~す。