週に一度は西部劇

リアルタイム(2004年5月)に観て以来の『ミッシング』(2003年/監督:ロン・ハワード)をDVDで再見。家族の絆を描いた本格西部劇です。

1985年のニューメキシコ、二人の娘リリー(エヴァン・レイチェル・ウッド)・ドット(ジェンナ・ボイド)と暮らすマギー(ケイト・ブランシェット)は、恋人ブレイク(アーロン・エッカート)に助けられながら治療師として平和な日々を送っていましたが、20年前に妻子を捨てインディアンと生きる道を選んだ音信不通だった父のサム(トミー・リー・ジョーンズ)が出現。父を憎んでいるマギーは、一晩泊めただけでサムを追い返します。町へ祭り見物に行ったリリーとブレイクが、ベーシュ(エリック・シュウェイグ)率いるアパッチの一団に襲われ、ブレイクは殺されリリーが誘拐されるという事態が発生。保安官も騎兵隊も頼りにならず、留置所にいたサムにしぶしぶ協力を仰ぎ、どうしてもついて行くと言うドットを連れてベーシュ一味を追跡。ベーシュは誘拐した女性たちをメキシコで売ろうとしており……

21世紀になり、西部劇における女性の位置が高まり、戦う女性が多くなりました。この作品でも、娘が助けられるのをおとなしく家で待つ母親でなく、自ら救出に向かう強い母親が描かれています。ケイト・ブランシェットは持ち味が出ていましたな。昔だったら、バーバラ・スタンウィックの役どころ。一個所に落ち着くことのできないサガを持つ西部男がピッタリのトミー・リー・ジョーンズもグッド。追跡の旅を通して家族の絆が戻ってくる展開は定番ですが、祖父と母の鎹になる娘の存在が新鮮です。子役のジェンナ・ボイドが上手い演技をするんですよ。

インディアンに捕らわれた白人を救うための追跡劇は、西部劇の定番としてありますが、この作品ではインディアンを単なる野蛮な存在として描いているのでなく、正義のシンボルであった騎兵隊の行動も醜く描いており、21世紀の作品らしいリアルな本格西部劇になっていま~す。