実録路線ついで

録画していた『日本暴力列島・京阪神殺しの軍団』(1975年・東映/監督:山下耕作)を観る。全国制覇の野望に燃える巨大暴力団の先兵となって日本各地で暴れまくったヤクザ集団を描いています。

昭和27年の大阪・鶴橋、庄司組の客分・花木(小林旭)は、不良ヤクザの金光(梅宮辰夫)を襲撃。互いに在日コリアンであることを知った二人は固い兄弟分の契りを交わします。やがて、花木と金光たちはその度胸の良さを買われ、巨大暴力団・天声会の傘下に入り、全国制覇を目指す天声会の先兵となって日本各地で抗争を繰り広げますが、仲間たちが抗争で死んでいき……

主人公は在日コリアンなんですが、ストーリーの中ではそれほど大きなテーマになっていません。差別が背景にあって、イケイケの暴力団になったことは匂わせていますけどね。小林旭は、在日の物悲しさというより、生き残るためにでかい組織と付き合うようになり、殺しの軍団と恐れられながらも大組織の理屈の前に最後は反抗せざるを得なくなる男の物悲しさを漂わせていました。

柳川組がモデルなんですが、この作品を観た柳川次郎は、「これじゃ、ただの人殺しじゃねえか」と憤慨したとのこと。