これで最後

東映チャンネルで放送された『警視庁物語・ウラ付け捜査』(1963年・東映/監督:佐藤肇)を観る。迷宮入り事件の犯人の自白が本当かどうか調べる刑事たちの物語。

浅草署に留置されている川村(井川比佐志)は毎晩悪夢にうなされ、二年前の殺人を自白します。それは古井戸で発見された若い女性の絞殺事件で、腐乱状態がひどくて被害者の身許がわからず迷宮入りになっていたものでした。川村の自白によると、被害者はユキという女で、川村もユキの身許を知っておらず、心中するつもりでユキだけを殺してしまったとのこと。ユキを使って盗品の質入れしたというので、刑事たちは質屋を聞き込み。美容師の木村元子(八代万智子)の名があがりますが、元子は生きており、元子の証言から美容院の女中だったユキではないかとわかります。長田部長刑事(堀雄二)と北川刑事(南廣)が秋田のユキの実家で写真を手に入れ……

本人の自白のみでは罪にならないということをテーマに、確固たる証拠をもとめて行動する刑事たちのウラ付け捜査を丁寧に描いています。ロケ中心で、昭和30年代の風物を楽しめるのがこのシリーズの魅力ですが、本作品はセット撮影が目立ち、ロケ地が乏しかったのが残念。

これにて、“警視庁物語”シリーズは全て観了しましたが、低予算のB級作品ながら佳作が粒ぞろいでした。